僕たちは何かを考えるとき、「もっと何かできないかな」と考えることが多いですよね。自分たちでサービスをつくるとき「もっと良いサービスを追加できないかな」とか「他者よりも豊富なサービスを提供しよう」みたいな感じで、「足し算」に意識が向きます。
しかし、その発想だと意外と他との差別化をはかることは難しいかもしれません。なぜなら他の人も同じように考えるので、行き着く先は似ることになるからです。
今回紹介するのは、ライディ・クロッツ著【引き算思考】です。
【引き算思考】は、足し算思考である世の中に疑問を呈し、引き算することの素晴らしさを教えてくれる本です。人間は本能的に引き算を避ける傾向にあるらしいので、引き算思考を手に入れることで他と差別化することができるかもしれません。
この記事では【引き算思考】を要約し、気になったところを解説していきます。
まずは引き算をしてみる
【引き算思考】の前半では
- 人間は足し算をすることで成長してきた。
- そもそも人間は引き算をするという発想になりにくい。
ということが解説されています。その部分もとてもおもしろかったのでぜひ読んで欲しいのですが、大事なのは「引き算をどう自分の生活に活かすのか」ということだと思います。
例えば何かビジネスアイデアを出そうと思ったとき、普通の人は世の中にあるサービスに追加要素を加えて新しいサービスとしてリリースするでしょう。
もちろんそれでも上手くいく場合もあるでしょうが、そこで「引き算」を使ってみるといいでしょう。つまり、世の中にあるサービスから何かを引き算してみるのです。
例えば、普通のサーカスって動物のショーがあるのですが、あえて動物のショーをやらないと決めて成功したのが「シルク・ドゥ・ソレイユ」です。
動物を使うともしかしたら集客面で安定するのかもしれませんが、管理も大変なわけです。そこをあえて引き算することで、余ったリソースを別のパフォーマンスやサービスに振り分けたってことです。
僕も常々「この仕事いるのかな」って慣習的にやってるけど、もしかしたら必要ないのではと思う仕事を常々探していて、それらをやめることにより時間を作り、新たな仕事をするということがあります。
何か生み出そうとするときや行き詰まったときは、「まずは引き算をする」ということを覚えておくいいでしょう。
引き算したものを再利用する
【引き算思考】には「引き算したものを再利用する」という事例も紹介されています。
例えば「ドーナツの穴」です。ドーナツを作る過程で、生地からくりぬいてドーナツの形に揚げるのですが、そのくりぬいた生地をまるめて販売したものがヒットしたという事例が紹介されていました。
これができるとビジネス的にも収益になるし、引き算に対する抵抗もなくなるでしょうね。
僕がよくやってるのは、ブログやSNSのコンテンツの整理です。最初は雑多に記事やコンテンツをアップしているのですが、アカウントに統一感を持たせるために不要な投稿を消したりします。ただ消すだけでなく、その消したコンテンツも別のアカウントで利用することができます。
これで自分でもヒットすると思ってなかったコンテンツがヒットする場合もあるので、やっておいて損はないですよね。
ネガティブな表現はポジティブに言い換える
そもそも引き算というのは、何かをなくすということなので、そこにネガティブなイメージがつきまといます。人間は、得るときの喜びよりも失うときの悲しみのほうを強く感じる生き物なので、そのネガティブなイメージを避けることはできません。
例えば、チラシのデザインで何かを削るとき、デザイナーさんに「これ削って」と言うと嫌な顔をされかねませんが、「これを目立たせたいんだけど…」と相談する形なら話を聞いてもらいやすくなるはずです。暗に「これを削ればこれを目立たせられるよね」と言ってるんですが、表現が違うだけで目標達成率は上がります。
僕はご飯食べに行くとき、個人でやってる美味しいお店のメニューが気になるんですよね。メニューの数が多すぎて、食材の管理とか大変だろうなっていらん世話をやきそうになります。
僕がもし飲食店をするならメニューを少なくするのですが、これはあくまで「シンプルにわかりやすく」という名目でやりますね。そういう表現を使うことでメニューが少ないというネガティブな印象を減らすことができると思います。
まとめ
【引き算思考】は、足し算思考である世の中に疑問を呈し、引き算することの素晴らしさを教えてくれる本です。
「僕は引き算をすることのほうが得意かもしれない」と思いながらこの本を読み進めていきました。僕のフィーリングに合う実践がたくさんありおもしろかったです。
とくに今は情報過多の時代なので、少しでもこの引き算思考を実践してみると、あらたな発見があるかもしれません。