誰からも認められていて成功している人がいる一方で,実力はさほど変わらないのに成功していない人もいます。
いわゆる世に出ていない天才というやつですが,なぜ実力が同じでも人に認められてる人とそうでない人が存在するのでしょうか?
そんな疑問に答えてくれるのが,アルバート=ラズロ・バラバシ著【ザ・フォーミュラ】です。
【ザ・フォーミュラ】では「成功するためには実力も重要だが,それ以上に重要なのはネットワークである」と主張されています。
この記事では【ザ・フォーミュラ】を要約し,気になったところを解説していきます。
本書における成功の定義
まずは「成功」をどう定義するかを示さないと議論が始まりません。
【ザ・フォーミュラ】では「成功」を以下のように定義しています。
成功とは,あなたが属する社会から受け取る報酬である
【ザ・フォーミュラ】の中では,個人的な成功,つまり,本人だけが満足している状態を成功とは定義していません。
人によって成功の定義は様々で,自分だけが満足すればいいという人もいるとは思います。
しかし多くの人が目指す「成功」はおそらく以上のような定義で間違いないでしょう。
要するに成功とは,個人的な現象ではなく,集団的な現象であるということです。
実力は重要だがそれだけでは成功しない
多くの人が勘違いしているであろうことは「実力さえあれば結果は勝手についてくる」ということでしょうか。
確かにルールがはっきりした世界では実力はそのまま成功の指標になりやすいです。
例えば,100m走なんかは1番速いタイムを出した人が勝ちます。
そして,それがオリンピックであれば,一躍有名になり,成功を手にするでしょう。
しかし,ルールがはっきりしていない世界,例えば芸術や音楽,お笑いやダンスなど,人の好みが非常に反映される世界では実力よりも「ネットワーク」のほうが重要だと書かれています。
ネットワークとは具体的には以下のようなものです。
- 多くの人に知られている
- 業界の実力者とつながりがある
もちろん他にもありますが,おおまかに掴みやすいのがこの2つです。
実力があるけど成功してない人は,上記の2つがもしかしたら欠けているかもしれません。
ピコ太郎はなぜ有名になったのか
【ザ・フォーミュラ】を読んでいくにつれて「ピコ太郎」さんのことが頭に浮かびました。
「PPAP」で世界中で有名になったピコ太郎さんですが,あのネタ自体は絶対的なものではありません。
あのネタがおもしろいという人もいれば,おもしろくないという人もいると思います。
これが「ルールがはっきりしていない世界」です。
ですが,ピコ太郎さんのPPAPの動画は世界中でバズりました。
それは「ジャスティン・ビーバー」がシェアしたからです。
ジャスティン・ビーバーがシェアしたことによって世界中の人がPPAPの動画を観て,さらに拡散され,ピコ太郎さんは有名になっていきました。
もし,PPAPの動画をジャスティン・ビーバーがシェアしてなかったらどうなってたと思いますか?
ここまでピコ太郎さんは有名になっていたでしょうか?
それを考えると,実力以上にネットワークが重要ということがよくわかると思います。
実力には上限がある
【ザ・フォーミュラ】の中でとくに印象に残ったフレーズが「パフォーマンスには上限がある」というフレーズです。
パフォーマンスと書くとわかりにくいので,本記事では「実力」と表記します。
例えばピアノの世界を例にすると,明らかに実力が違えば「あの人は上手い,あの人は下手」ということは素人でもわかります。
では,日本全国からピアノがうまい人ばかりを集めて日本一を決めようとなった場合はどうでしょうか?
その競技会場にいる人たちは全員ピアノが上手いです。
プロがみれば実力の差はわかるのかもしれませんが,素人からみれば全員が上手いわけです。
実力は高いレベルで団子状態になり,そこから選び出すという作業になります。
この作業はたとえプロでも一貫性が保てないと言われているくらい難しい作業なのです。
このように実力には上限があります。
トップレベルの人ばかり集めたら,そこから頭ひとつ飛び出るのはかなり難しいでしょう。
そこで実力をさらに上げようとする努力は尊く,継続しなければいけません。
しかし,そればかりに注力していると成功からは遠ざかっていきますよということですね。
これが実力がはっきりと決められない世界ではネットワークが重要だという理由の1つです。
1回勝つと勝ちやすくなる
さっきのピアノの競技の例で言うと,ネットワークってなんなのでしょうか?
先ほどネットワーク例を以下のように提示しました。
- 多くの人に知られている
- 業界の実力者とつながりがある
ピアノなどの競技の場合,実力が拮抗している場合は「より知られている人が勝ちやすい」ようです。
ようするに,他のコンクールで結果を出して名前が売れているとか,有名な先生に習っているとか,とにかく他の多くの人に知られていると勝ちやすくなります。
これは人間には無意識に「バイアス」がかかるからです。
ピアノのように数字で実力を測れないものは「前提知識」みたいなものが邪魔をしてくるのです。
仮にAさんとBさん,ピアノの実力はほぼ同じという状態でも,Aさんは他の著名なコンクールで優勝した経験があり,Bさんは過去の経歴がほぼないことを審査員が知ってしまっていると,公平に審査をしているつもりでも無意識にAさんのほうを選んでしまうのです。
これは人間には備わっているバグみたいなものなので,審査員に文句を言っても仕方がありません。
このようなルールがはっきりしていない世界で上に行こうと思ったら,まずは小さなコンクールでもいいので出場し,結果を出すということを少しずつ積み上げていくことが重要です。
過去に勝った経験があれば,その後も勝ちやすくなるのです。
まとめ
【ザ・フォーミュラ】を読んで,僕なりの成功へのロードマップを作ってみました。
- まずは実力をつける
- コンテストなど,人に評価されるものに継続して挑戦し続け,小さな勝ちを積み上げる
- だんだん多くの人から知られるようになり,勝ちやすくなる
簡単に言えば,実力をつける努力と自分を知ってもらう努力の両方が必要ということです。
僕の周りの上手くいってる人はとくに自分を知ってもらう努力をしっかりしているという印象があります。
逆に上手くいってない人は実力を伸ばす努力だけをしているか,両方してないことが多いですね。
このことを知っているだけでも,自分が今何に注力すればいいのかがわかり,ズレていることをしている場合にも気づきやすいのではないでしょうか。
おすすめ関連書籍
以下の本も一緒に読むと「成功」に関する理解は深まると思います。
- 鈴木祐【天才性が見つかる 才能の地図】
- 鈴木祐【運の方程式】