やる気や忍耐力,協調性,自制心などの「非認知スキル」を我が子に持ってて欲しいという親御さんは多いでしょう。
「学校の勉強はできなくてもいいから…」という人も少なくないでしょうが,そもそも非認知スキルはどうやって身につけるのでしょうか。
それこそ遺伝子の問題なのでしょうか。
今回紹介するのは,ポール・タフ著【私たちは子どもに何ができるのか】です。
【私たちは子どもに何ができるのか】によれば,非認知スキルを身につける土台は幼少期の家庭環境で育まれるとのことです。
これを読んだだけでは当たり前のことのように感じますが,幼少期の家庭環境と非認知スキルはどのように関連していくのでしょうか。
この記事では【私たちは子どもに何ができるのか】を要約し,気になったところを解説していきます。
非認知スキルは環境による産物である
日本でも非認知スキルという言葉はだいぶ馴染みがある言葉になってきました。
国語や算数などの教科の内容を認知スキルとすると,これらは勉強することによってスキルを獲得できます。
非認知スキルはどうやって獲得するのでしょうか。
例えば「自己肯定感」「思いやり」という非認知スキルは,これらのことを勉強すれば身につくのでしょうか。
【私たちは子どもに何ができるのか】によると,そういうことではなく,非認知スキルは子どもたちをとりまく環境の産物であると書かれています。
【私たちは子どもに何ができるのか】の中では,環境とは「毎日続く経験」と書かれています。
毎日の生活がつらく厳しいものであれば,子どもは慢性的なストレスにさらされることになり,非認知スキルは育ちにくいと言われています。
環境についての話は【幼児教育の経済学】でも似たようなことが書かれてるのでこちらも合わせてご覧ください。
一番大事なのは「親子関係」
環境についてもう少し掘り下げていくと,一番問題となる環境要因は子どもたちが経験する人間関係です。
それは周りの大人,もっとハッキリ言えば「家族」なんです。
例えば,虐待とかネグレクトを経験してきた子どもは将来のキャリアにも問題が出てきますし,病気にもなりやすくなったり,身長や体重も健康的に成長しないと言われています。
虐待やネグレクトなどは「逆境的小児体験(ACE)」と言われており,子どものことを考えるのであれば,当然これらのことは避けなければいけません。
温かい親子関係を築くために,僕たち大人はもう少し勉強したほうがいいと思うんですよね。
子どもの味方であるというスタンスを貫く
ドラマとかで見る「荒れた学校」を想像して欲しいのですが,だいたい「生徒 VS 教師」という構造になっています。
「ごくせん」とか「ROOKIES」とか「GTO」とかそうだと思いますが,不良の生徒がいて,教師はその不良たちを疎ましく思っています。
ですが,主人公である先生が「生徒の味方である」というスタンスは貫いていると,生徒はしだいに心を許していきます。
別にあそこまでドラマチックである必要はないのですが,僕たちの世界でも「子どもの味方である」というスタンスは重要だと言われています。
どうしても子どもを叱ったり注意したりする必要はあると思うのですが,それで子どもが「大人は敵だ」という認識をしてしまうと,その子どもたちの非認知スキルは育ちません。
そこで大人たちは「あなたの味方である」ということを子どもたちにわかってもらわないといけません。
ドラマみたいに自分を危険な目にあわせる必要はなく,例えば成績表でダメ出しをしたとしても,付箋紙で「あなたなら改善できると期待している」ということを書いて貼っておくだけでも効果はあるのだとか。
大人側が積極的に「あなたならできる」「あなたの味方」というメッセージは伝える必要があるということなのです。
まとめ
【私たちは子どもに何ができるのか】によれば,非認知スキルを身につける土台は幼少期の家庭環境で育まれるとのことです。
この結論は,子育てに何か特別な裏技があるというわけではなく,親が子を思う気持ちと行動が大事という当たり前なことが示唆されていると感じます。
でもそれが当たり前というのが申し訳ないくらい,難しいと感じる人が多いことも事実。
子どもに「非認知スキルを身につけなさい」と言っても非認知スキルは身につきません。
それよりもまず親が勉強し,子どもにとってふさわしい「環境」というものがどういうものかを知り,自分の状況なら何ができるのかをしっかりと考えることが必要だと思います。