為末大【熟達論】要約レビュー

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  • スポーツをやっているが、なかなか上達しない。
  • 今までは勝ててたのに、ある日突然勝てなくなってしまった。
  • 競技で結果を出したい。

スポーツをしている人にとって、結果が出るかどうかは重要なことでしょう。日々一生懸命練習をしているけど結果が出なくて苦しむ経験は、スポーツ競技をやったことがある人なら誰もがあるはず。

多くの人はそこでがむしゃらに練習したり、練習時間を増やしてみたりと、いろんなことを試しますが、知識がなくなんとなく努力して結果が出るものでもありません。

100%勝てるようになる知識なんてものは存在しないでしょうが、何か深く考えるきっかけやガイドラインは欲しいところ。

今回紹介するのは、為末大著【熟達論】です。

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【熟達論】には、著者である為末さんの競技人生と、様々なジャンルの「達人」と対話して得た知見がわかりやすく書かれています。

スポーツに限らず、何か上達し、極めたいものがある人にとっては役に立つと思います。

この記事では【熟達論】を要約し、気になったところを解説していきます。

本を読んで得た知識を僕なりにかみ砕いたり、すでに持っている知識と混ぜたりしているので、必ずしも本書と同じ内容ではない場合もあります。

繰り返さない反復練習をする

練習はたくさんこなしていくと慣れてきますが、慣れてくるということは効果は弱くなります。慣れてない練習のほうが効果は高いのはたしか。

為末さんは「練習に変化をつけるようにしていた」そうです。

具体的には

  • 競技場を反対回りに走る
  • 後ろを向いて走る
  • 砂浜を走る
  • 誰かにハードルの位置を前後にずらしてもらう

これは【初心にかえる入門書】にも書いてあった「繰り返さない反復練習」のことですね。

直感的には何度も同じことを反復練習するほうが効果が高そうなのですが、実はそれは間違ってますよということは割と最近知られるようになってきましたね。

「繰り返さない反復練習」をメダリストが実際にやっていたとなると、すごく信憑性がありますよね。僕も練習するときには「慣れてきたらちょっとだけ変化を加える」というのはやっていますが、いい感じです。

思いきり動く

【熟達論】には「思いきり動く」ことの重要性についても書かれていました。

スポーツが上手くなりたいなら練習しなければいけないのはですが、その練習は「正しいボールの投げ方」だったり「ラケットを正しく振る」みたいに、自分の体をコントロールする方向の練習が多いでしょう。

もちろんこれは絶対に必要なことなのですが、その前段階として「そもそも思いきり動くことができるか」が大事みたいなのです。

これは僕も感じていたことがあって、人に教えるときに「この子全力で動いてないな」って感じることがけっこうあります。

本人は全力で動いているつもりの場合もあるし、周りの目を気にして全力を出せないという人もいるでしょうが、確かに全力で動ける人って少ないんですよね。

で、たまに全力で動けてる人が現れるのですが、そういう人はやっぱり上手くなりやすいという印象です。

【熟達論】には「コントロールするのは、全力で動けてから」ということが書いてあり、僕が感じていたことは正しかったのかなと感じました。

型(土台となる最も基本的なもの)を練習する

「基本が大事」ということを疑う人はいないと思いますが「じゃあ基本って何?」というところは議論が必要でしょう。

【熟達論】では、練習すべき基本を「型:土台となる最も基本的なもの」と定義しています。積み木でいえば、一番下の木のこと。積み木をどれだけ高く積み上げられるかは、一番下の土台で決まるので、そこを練習しましょうということです。

例えば、走るという行為の型は「片足で立つこと」だそうで、スランプになったときに毎回戻る原点は「片足で立つこと」だったそうです。

自分がやってるスポーツでも「型って何かな〜」って考えてみるといいでしょう。僕も自分がやっているスポーツで考えてみて、時間がないときはその型だけ練習してみるということをやっています。

練習は意識的に、本番は無意識に

練習というものは、なんとなく量をこなすだけでは効果がありません。【初心にかえる入門書】でも書いた「意図的な練習」が必要であり、練習するときはいろんなことを意識しなければいけません。

例えば、ラケットをただただ素振りをするだけだと1000回しようが10000回しようがそこまで上達はしませんが、「ラケットを引いたときの足のスタンスはこれくらい」とか「ボールがあたったら最後まで振り抜く」みたいなことを一つずつ意識しながら練習していくと、少しずつ上達していくわけです。

しかし、すべてのことを意識して動こうとすると混乱します。とくに本番中にこの混乱が起きたら上手くいかず、試合終了まで直ることはないかもしれません。

こういうのを「イップス」と言うのですが、意識しすぎると上手くできているかどうかが気になり、緊張したりもするので本番で失敗しやすくなります

これは意識と無意識を使い分けることが必要です。

例えば、練習中はいろんなことを意識しなければいけませんが、上達していくと無意識にできることも増えてきます。本番では無意識でプレイすることにより、練習で染みついたスキルが自動的に発動するというのが理想です。

自動的に発動しなかったことはまだ練習不足で習得できてないということなので、また練習で意識的に練習すればいいのです。

この「意識と無意識」をいったりきたりするのが大事なんですね。

まとめ

熟達論】には、著者である為末さんの競技人生と、様々なジャンルの「達人」と対話して得た知見がわかりやすく書かれています。

為末さんの言語化が非常にわかりやすく、物事を深く考えていることがわかります。

スポーツに限らず、芸術のような練習が必要なことには役立つ内容だと思いますので、読んでみたら自分の修業ライフに取り入れてみてください。

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