誰しもがSNSで情報発信ができる時代ですが,文章を書くというスキルをきちんと学んでいる人は少ないです。
結果,何を伝えたいのかがわからない文章を書いてしまい,苦労して書いたけど成果が出ないという人がたくさんいます。
書きたいことがあるけど,どう書いていいのかわからない人がたくさんいます。
文章とはどうやって書けばいいのでしょうか。
そんな疑問を解決してくれるのが唐木元著「新しい文章力の教室」です。
著者の唐木さんはナタリーというウェブメディアの初代編集長だった方です。
ナタリーは月に3,000本以上の記事をアップするわけで,記者1人も1日に10本以上の記事は書きます。
そのノウハウがつまった本です。
この本によれば「いきなり最初から文章を書き始めずにしっかりと準備をする」ことで文章力は飛躍的アップするとのことです。
この記事では本書を要約し,気になったところをレビューしたいと思います。
書き始める前に「主眼」と「骨子」を立てる
だいたい書けない人の特徴は,いきなり文章を書き始めてしまうことです。
ブログを書く人もいきなりワードプレスの画面を開いて書こうとする人が多いですが,そこから間違っています。
ワードプレスの画面を開く前にまずはしっかりと準備をするのです。
まずは「主眼」と「骨子」を立てます。
主眼とは「テーマ」,骨子とは「要素・順番・軽重(けいちょう)」です。
この文章では何について書くのかということをまず決め,その中でも「何を書くのか(要素)」「どれから書くのか(順番)」「どれくらい書くのか(軽重)」を事前に考えておきます。
イメージとしては「プラモデル」です。
丸太とミノだけ渡されて「これでガンダムを作れ」と言われても,一般人には無理ですよね。
文章をいきなり書き始めるというのは,丸太とミノだけでガンダムを作ることと同じことなのです。
しかし,プラモデルならほとんどの人が作ることができます。
これはプラモデルの箱に書いてある絵(完成図)があり,あらかじめ各部位のパーツがあり,説明書があるからです。
文章に置き換えるとこうです。
- 完成図=主眼
- パーツ=要素
- 説明書=順番,軽重
文章を書くときも,まずは完成図をイメージし,それを構成するものは何かということを考えてからスタートするのです。
具体的な方法については割愛します。
本書を読んでみてください。
1章を読むだけでも文章を書くスピードは格段に上がると思いますよ。
レビュー記事を書くには自分にインタビューをする
僕はレビュー記事をよく書きます。
本書にはレビュー記事の書き方についても書かれていました。
レビュー記事は自分にインタビューをするように書くのがいいとのこと。
インタビューの原則は2つあります。
「同意」と「深堀り」です。
インタビューを受けてくれる人の話にうなずきつつ(同意),もっと聞きたいところは突っ込んで質問しますよね(深堀り)。
レビュー記事を書く場合はこれを自分に向けてするのです。
例えばおいしいケーキのレビューをするとします。
まずはこのケーキを食べて,自分が思ったことを書き出します。
書き出したらそれらの項目にたいして,もっと突っ込んで質問していきます。
「めちゃくちゃおいしい」だけだとコンテンツにならないので「なにがめちゃくちゃおいしいの?」と自分に聞きます。
「生クリームにコクがある」とか「スポンジの食感がいい」とか深堀りしていくわけですね。
毎回少しだけ工夫を続けていく
文章を書くメソッドがあるということは,安定して記事を量産できるということです。
文章も上達するのですが,上達してくると良くも悪くも「テンプレ化」してきます。
文章としては成熟しているけど,どの文章も似てくるのです。
それを防ぐために,毎回少しだけの工夫や変化を加えて記事を書いていくそうです。
これは文章を書くときだけでなく,人生でも大事なことだと思っています。
人生を変えるのは,日々の小さな変化です。
いきなり大きな変化をしようとすると人間の脳は抵抗するので,努力が継続できなくなります。
日々,意識的に変化をしていくというのは大事なことなのです。
小さな変化は上手くいくこともいかないこともあるでしょう。
しかし,それが自分の血肉になり,レベルアップにつながります。
文章もまずはメソッドをしっかり習得し,そこからさらにレベルアップするために意識的に小さな工夫と変化を加えていくことが大事なのですね。
まとめ
「文章を書くのは才能」と考えている人が多いです。
ドラマとか漫画でも,小説を書く人の苦悩が描かれたりしますよね。
そういう描写のせいで「文章は才能」というイメージは強そうです。
もちろん賞をとるような小説を書くためには才能もいるかもしれませんが,一般人が書くような文章はトレーニングでいくらでもレベルアップできます。
どの職業でも同じでしょう。
初めてやる仕事は最初何もできませんが,だんだんできることが増えていきます。
文章も同じ,いい文章を書くためのトレーニングがあるのです。
本書はそこまでページ数も多くないのですが中身は非常に濃いので,文章のレベルを上げたい人はまずこの本を読むことをオススメします。