学校では勉強しますが、「勉強の方法」を学ぶことはほとんどありません。多くの人がなんとなく学校へ行き、なんとなく授業を受け、何となく成績が決まり、そして進路が決まっていきます。
成績がいい人は頭がいい、成績が悪い人は頭が悪いというレッテルを貼られ、そのレッテルを剥がすことなく人生が終わっていく人がほとんどでしょうが、人生は本当に頭の良し悪しだけで決まってしまうのでしょうか。
今回紹介する本は、篠ケ谷圭太著【使える!予習と復習の勉強法 自主学習の心理学】です。
【使える!予習と復習の勉強法 自主学習の心理学】では、主に「学習方略:勉強するときの様々な工夫」について解説してくれています。
学習方略を意識している人のほうが成績が高い傾向にあるそうです。ということは、学校方略についての勉強することで、学校の勉強も楽勝になるはず。
この記事では【使える!予習と復習の勉強法 自主学習の心理学】を要約し、気になったところを解説していきます。
「知識は不要」という風潮は間違い
戦後の教育は「知識の詰め込み」が主な学習方法でしたが、それはどうかと思う世論になってきて生まれたのが「ゆとり教育」です。
ゆとり教育の一般的な認識は「脱詰め込み教育」とか「考える力を鍛える」くらいのものかと思います。実はこれは本当の狙いとは少しズレていて、「知識よりも考える力」がなぜか「知識は重要ではない」というふうに変換されてしまいました。
このあたりの歴史的背景は置いておいて、「知識は重要ではない」という考えは実は間違っているんですね。
人間は情報をインプットし、アウトプットします。インプットは「先生の説明」だったり「教科書の内容」だったりします。アウトプットは「行動」だったり「発言」だったり、勉強の場合では勉強の成果みたいなものもアウトプットでしょう。
インプットされた情報は、脳で「理解と再構成」という処理を行われるのですが、そのときに「知識」があるかないかで、アウトプットの質が大きく変わってきます。簡単に言い換えると、「知識があるほうが物事を深く考えることができる」のです。
例えば、コンテンポラリーダンスというものは素人の僕たちにとっては、ただゆっくり動いているだけどか、よくわからない動きをしていて、ちょっと笑えてくる場合もあります。ですが、コンテンポラリーダンスを習熟している人には、僕たちが見えているものとはまったく違うものが見えているわけです。
また、知識があり物事を深く考えることができる人は「問い」をアウトプットすることもできます。「あの先生はああ言ってたけど、違う先生はこう言っている。いったいどっちが正しいのだろう」という具合に、知識がしっかりある人は、ある情報がインプットされたときに既存の知識と衝突したりすることがあります。そのときに発生するのが「問い」で、問いは僕たちの学びを深めてくれるわけです。
結論としては「知識は不要」という風潮は間違ってるよってことですね。
新しい知識は、自分が持っている知識と結びつける
ではインプットした情報をどのように扱えばいいのかという話ですが、「何か新しいことを学んだら、自分が持っている知識と結びつける」のがいいと書かれています。
これを「精緻化(せいちか)」と言いますが、とりあえず今後インプットするときは精緻化を意識すればいいでしょう。
例えば、僕は最近「体の柔軟性を高めるにはストレッチは各部位2分以上する必要がある」という知識を手に入れました。10秒くらいやっただけではまったく意味がないそうでショックを受けました。2分って長いよなって感じたのですが、セルフマッサージは1つの部位で3〜5分、筆記開示のような認知行動療法は8分以上と実はけっこう長めの時間必要なことを事前に知っていました。
ということは、「おそらく人間は何か行動してから、慣れてきたり変化してきたりするのはそれなりに時間がかかる」というふうに僕は深い理解をしました。最初、2分のストレッチは長くて面倒くさいと感じたのですが、すでにある知識と結びつけたら妙に腹落ちして、各部位2分のストレッチを継続することができています(実際に柔軟性はかなり早い段階でアップしたという実感があります)。
新しいことを学んだら「これって自分が持っている知識とどんな関連があるかな」と考えてみるといいでしょう。
授業の時間だけで深い理解をすることは無理
「授業を受けたけど理解できなかった」とか「読んだ本の内容が頭に入らない」という悩みを持つ人はたくさんいると思いますが、こういう人たちの話を聞いていると「焦っているな」と感じます。
要するに「授業を受けて、その時間内に理解できないやつは頭が悪い」とか「本を読んで覚えてないとか記憶力がない」みたいな考えを無意識に持っている気がするのですが、そのような考えは早めに捨てるべきでしょう。
というのも、「学ぶ」ということは1回で完結するものではないからです。学びは「見通し – 実践 – 振り返り」のサイクル、わかりやすく言えば「予習 – 授業 – 復習」というサイクルが絶対に必要だからです。「授業の内容が理解できない」というのは、授業の前後の予習と復習のことを考えてないだけなのです。
例えば僕が本を読むときも、まず以下のような流れがあります。
- 予習:僕はこの本を読んで何を知りたいのか、この本にはその答えが書いてありそうか、を考えながら目次に目を通す。そのときにわからない専門用語があれば軽く調べておく。
- 授業:予習をもとに本を読んでいく。大事だと思ったことは、できるだけ自分の言葉でメモをとる。
- 復習:取ったメモを元に、ブログ記事を書いてみる。
僕も本をたくさん読んだんだけど「ほとんど本の内容が頭に残ってない」とショックを受けていた人です。ですが、「学びは1回で完結しない」ということを理解しておくと、本を読むという行為の立ち位置が見えてくるので、覚えてなくても自分を責めなくなりました。
なので「授業だけで理解してしまおう」と考えるのはやめてみてください。
まとめ
【使える!予習と復習の勉強法 自主学習の心理学】では、主に「学習方略:勉強するときの様々な工夫」について解説してくれています。
学習方略は、自分から主体的に学ぼうとしないと一生知らない知識になりえます。個人的にそれはとてももったいないと感じます。
僕自身も学習方略を知り、実践し始めてからのほうが明らかに仕事の生産性は上がりました。大人が実践しても効果があるのに、若者が知らないのはもったいないと思います。
ぜひ「勉強の方法」を【使える!予習と復習の勉強法 自主学習の心理学】を学んでください。