僕はスポーツをやっているので、「いかに効率的にスキルを習得することができるか」というテーマに興味があり、スキル習得に関する本を読むことが多いです。
バイブル的な本は、アンダース・エリクソン先生の【超一流になるのは才能か努力か?】です。この中に書かれている「意図的な練習」は様々なスキル系の論文や書籍に引用されていて、圧倒的に上達するには避けて通れない練習です。
なのですが、【超一流になるのは才能か努力か?】の中には、「意図的な練習を実践するには具体的にこういう手順を踏め」っていうのが明示されていないので、自分で読み解かなければいけません。僕も何回も読んでいるのですが、他の人が読んで書いている読書ブログとかを読んで「あ、そういうことなのか」ってわかることもしばしば。
今回紹介するのは、スコット・H・ヤング著【ULTRA LEARNING 超・自習法:どんなスキルでも最速で習得できる9つのメソッド】(以下、【ウルトラ・ラーニング】と表記)です。

【ウルトラ・ラーニング】には、「意図的な練習」の具体的なステップとは明示的に書いてないものの、僕たちが効率的にスキルを身につけ、圧倒的なパフォーマンスを出す方法をわかりやすく説明してくれています。
この記事では【ウルトラ・ラーニング】について要約し、気になったところを解説していきます。
習得したいことを直接的に学ぶ
【ウルトラ・ラーニング】の中に書いてある9つのメソッドの中で、一番重要だなと感じたのは「直接性」というメソッドです。これは「習得したいことを直接的に学ぶ」ということです。
例えば、僕たちは学校教育で6年間英語の授業を受けますが、その授業を受けたおかげで英語が話せるようにはなりません。それは僕たちが「文法」や「語彙」、「テストの攻略」などを中心に学んでおり、英会話を直接学んでいないからです。
現在の学校教育は、学習によって身につけたスキルを何らかの状況や文脈において使用するという構造になっており、授業で学んだ知識は自分で使えるようにならないとダメという前提で行われています。
これは学校教育が始まってから今までずっとこうなので、多くの人は「座って授業を受けることが学習のメイン」と捉えてしまっています。
英語を話せるようになるには、実際に会話しながら習得しないとダメで、授業や教科書、アプリだけで満足してはいけないわけです。
僕も「座って授業を受けることが学習のメイン」と捉えていた人の内の一人なので、もっと直接性を意識して学んでいかないといけませんね。
先行テスト効果を利用する
僕たちのほとんどが「テストは習熟度を確認するもの」と捉えています。もちろんそういう側面もあるのですが、学習における科学的な知見は「習熟するためにテストをするべき」となっています。
先行テスト効果とは、テストを行う準備が整ってからテストをするのではなく、まずはテストをやってしまうことで、今後の習熟度が上がるというものです。先にテストをやってしまったほうが、学習の範囲などの見通しがつくし、課題が見つかるので、効率的に学習できるってことです。
ただテストで苦労したり、いい点数が取れないという不愉快さに我慢できない人が多いのも事実。たいていの人は準備が整うまでテストをしません。
この先行テスト効果は、前述した「直接性」にも関係してきます。例えば英会話を覚えたいと思ったら、いきなり英語で会話をしてみるわけです(これがテストになります)。会話をしようとしてみると、「これが言いたいんだけど全然しゃべれないな」と自分の実力と課題が浮き彫りになり、それを直接学ぶことができます。
弱点を突く
英語で話したかったら、まずはいきなり英語を話そうとすることが必要ですが、それだけで英語が話せるようになるわけではありません。英会話という全体は複雑なスキルなので、それを分解して、一つずつ攻略していかなければいけません。
分解することで「ここが苦手だな」とか「ここの理解が浅いな」という自分の弱点がわかってきます。そこを中心に勉強や練習をすることでスキルの上達は速くなります。
この「弱点を突く」というのが「意図的な練習」であり、ここをおさえておかないとスキルの上達はかなり遅くなります。ですが、「弱点を突く」というのも「不愉快なこと」なので、多くの人が避けがち。ここを踏ん張れるかどうかで習熟度は格段に変わってきます。
まとめ
【ウルトラ・ラーニング】には、「意図的な練習」の具体的なステップとは明示的に書いてないものの、僕たちが効率的にスキルを身につけ、圧倒的なパフォーマンスを出す方法をわかりやすく説明してくれています。
僕たちは、なんとなくたくさん練習していれば上達すると勘違いしていますが、スキルをなるべく速く習得するためには、世間のイメージみたいなものと逆のことをしなければいけないことがたくさんあります。
また上達するのが速い人をよくよく観察してみると【ウルトラ・ラーニング】に書いてあるようなことを実践していることが多いんですよね。
僕も「意図的な練習」を知って、実践していますが、42歳になった今でもスキルの習得は速く、確実になっています。