僕の仕事もクリエイター的な要素を含んでいるので、コンテンツを生み出す苦しみはよくわかっているつもりです。
正直、コンテンツを生み出すことをしなくても生活できるならそうしたいくらい、何かを生み出すというのはストレスがかかります。
クリエイターが絶対に味わう「生みの苦しみ」を少しでも和らげることなどできるのでしょうか。
今回紹介するのは、うえはらけいた著【ゾワワの神様】です。
【ゾワワの神様】は新人コピーライターが奮闘する姿をとおして、仕事をするということはどういうことなのかということを教えてくれる本(マンガ)です。
とくに何かを生み出すようなクリエイティブな仕事をしている人にとっては勇気をもらえるはず。
この記事では【ゾワワの神様】を要約し、気になったところを解説していきます。
人間なんてみんな違うし、意外とみんな同じ
【ゾワワの神様】の主人公である、男性コピーライターが「ブラジャー」の仕事をすることになったときの話です。
自分は男だから、女性の下着の仕事は難しいのではないかと主張したところ、生理用品のCMのコピーの仕事をした男性コピーライターの事例が紹介されました。
そのCMは女性が見ても「自分の気持ちを代弁してくれている」と感じたようで、絶対に女性のコピーライターが作ったものだと思ったそうです。
ですが、そのCMのコピーライターは男性でした。
その男性コピーライターはどうやって女性の気持ちを理解し、素晴らしいコピーを書いたかというと「ブログや掲示板を読みまくって想像しただけ」と言っていました。
そのときに「人間なんてみんな違うし意外とみんな同じなんじゃないかなぁ」という言葉が出てきました。
近年ではインターネットの影響か、過度な一般化(男性はこうだとか、○○人はこうだとか)をするとすぐに「それは人によります。みんながそういうわけではありません」というリプが飛んできます。
もちろんそれはそうなのでしょうけど、案外的を得ていることもあるんですよね。
例えば海外からの評価でも「日本人は礼儀正しく、モラルがある」とされており、こちらもよく接してもらえることもありますが、逆にとある国の人だと行儀が悪いというイメージがあり、邪険にされることも多いのだとか。
ようするに過度な一般化を批判する視点もある意味極端な意見であり、「人それぞれ」というのは正しいけれど世の中はそうは見てないという現実もあるのです。
生理用品のCMの仕事をした男性が、「女性と言っても人によるからなぁ」とか考えていると、このCMコピーは生まれなかったはず。
大事なことは、この事実を知っていて、自分の人生にはどう役立てるのかということだと思うわけです。
自分のアイデアを笑ってはいけない
主人公が自分のコピー案を出すときに「これちょっと恥ずかしいんですけど」と言いながら提出したときに指摘されたのは「自分のアイデアを笑ってはいけない」ということでした。
僕も照れ隠してよく言ってしまうんですけど、この言葉がなぜダメなのかというと「人の想像を現実に引き戻してしまう言葉」だからだとか。
いい仕事って、自分の想像の範囲外から出てくることが多いはず。
ということはいわゆる普通のことを考えている限りはいい仕事はできないということです。
いい仕事をするために、多くの人はどんな奇抜なアイデアでも出して考える必要があるのですが、「これちょっと恥ずかしいんですけど」という言葉が入りこむと、その奇抜なアイデアが「ダメなアイデア」に見えてくるんですよね。
これは本当に気をつけなくてはいけません。
「世の中には答えがあり、その答えを探す」のが仕事だと思っているかもしれませんが、世の中を変えるアイデアというのは、いまの段階では世界に存在していないものです。
そのアイデアを殺さないためにも、どんなあおくさいアイデアもまずは堂々と出してみることが大事なのです。
コピーライターの仕事はリサーチが9割
主人公の男性コピーライターがブラジャーのコピーを書くことになったとき、丸二日間デスクにかじりつきコピーを書いていたときに言われたのが「良いコピーライターになりたいなら9割をリサーチに使うこと」ということでした。
デスクからでは収集できない生の情報があるということなのですが、実際にブラジャーの工場を取材していきた主人公は、コピーを書く手が止まらなくなっていました。
最近ではアーティストのライブとかもオンラインでみれるようになりましたが、やはり実際に現場に言って経験するライブとは圧倒的に違います。
わかっちゃいるけど、コストがかからない選択をしてしまいがちですよね。
あえてコストがかかる、お金や時間がかかる選択をすることは、経験値を高めるためには必要です。
なんでも効率化を求めている世の中とはあえて逆のことをするのが大事ですね。
まとめ
【ゾワワの神様】は新人コピーライターが奮闘する姿をとおして、仕事をするということはどういうことなのかということを教えてくれる本(マンガ)です。
クリエイティブな仕事は正解がないぶん苦しいですが、いい仕事ができたときの喜びもそのぶん大きいです。
途中で必ず味わう「生みの苦しみ」というストレスに耐えるのがつらくなったら読んでみるといいかもしれません。
個人的には18話と19話がグッときましたね。