18年、自営業で働いてきました。今思えば若いときって「余裕で1日中働ける」って感覚で、たくさん仕事をこなすことが良いという価値観だったと思います。
で、今は働くよりも大切な価値観が出てきて、ほどほどに働いてもっと自由になりたいという感覚になってきました。おそらく体力的にはまだまだたくさん働けるのでしょうが、長時間働いても手に入らないものがあるなっていう感覚が強くなってきています。
今回紹介するのは、カル・ニューポート著【SLOW 仕事の減らし方】です。

【SLOW 仕事の減らし方】に書かれている主張は
- 「生産性=忙しさ」という定義は間違ってるのではないか
ということです。むしろゆっくり、静かに働くほうが生産性高いのではないかという根拠や事例をたくさん紹介してくれています。
実際僕も今までやらないといけないって執着していた仕事をやめてみたら、やっていたときよりも収入が増え、自由な時間も増えたっていう経験がけっこうあります。なので、仕事は減らす方向に動いていますが、ただやみくもに減らすだけでもダメなわけで、そのバランスを見極める方針も【SLOW 仕事の減らし方】は教えてくれます。
今回は【SLOW 仕事の減らし方】を要約し、気になったところを解説していきます。
仕事しているアピールをしない
「生産性」って言葉は工場労働時代に生まれた言葉らしく、1日にどれくらい製品が完成したかみたいに数値化できる仕事には意味がある指標だったみたいです。
ですが、だんだん工場労働から知的労働に移行していきますが、そうなると1日にどれくらい生産したのかというのが見えにくくなります。
そんな状況なんだけど、無理やり「生産性」という指標を使おうとした結果、「いかに忙しく仕事をしているか」で管理されているのが現代の状態なわけです。
よく考えると仕事なんて終わったら帰ってもいいわけです。でも「1日8時間会社にいないといけない」というルールのため、シゴデキな人が仕事を早く終わらせても「なんか時間潰せないかな」ってなるわけで、それを怒られたりもすると「じゃあさぼってゆっくりしよう」ってなるわけですよね。
さいわい僕は自分の裁量で仕事ができるので、仕事が終わったら堂々とぼーっとしているのですが、会社の管理職側の人たちにもこういう価値観が少しずつ浸透するといいなと思います。
仕事を減らしたほうがアウトプットは増える
たくさん仕事をしたほうが仕事の成果(アウトプット)は増えると考えがちですが、実際に計測してみるとそうでもないみたいです。
例えば、土木系管理職の人が週60時間労働の会社から週30時間労働の会社に転職した事例によると
- 労働時間が半分になったにも関わらず、仕事のアウトプットは前職とほぼ変わらない
という結果になっているんですよ。
これには原因はいろいろありますが、わかりやすいのが「間接コスト」です。間接コストというのは、本来の作業を進めるために必要な周辺作業のことで、大きい仕事、小さい仕事に関わらず、準備や雑用みたいな仕事がありますよね。
ということは仕事が増えるたびに間接コストは膨らんでいくわけで、間接コストを合計したらかなりの時間になりますよね。
そして、仕事を制限して間接コストを抑えると、ひとつの仕事に対して時間をかけることができるので、仕事のクオリティは上がります。その上がったクオリティが減らした仕事の利益を補ってくれるのから、アウトプットは変わらないんだろうなと思います。
休みを増やし、メリハリをつけて働く
【SLOW 仕事の減らし方】の中でとくに印象に残っているのが「狩猟採集民の日々の暮らし」についてです。
現代でも狩猟採集民の生活をしている部族はいるのですが、その部族と、最近「狩猟採集から農耕に完全移行した部族」の生活を比較しているデータがあるんですね。それを見ると
- 完全に農耕に移行したグループ:日中の余暇は30%程度で、働き方が均一(単調で途切れなく続く働き方)である。
- 狩猟採集グループ:日中の余暇は40〜50%で、働き方は緩急(スケジュールが変化に富んでいる)がある。
という違いが見られたそうです。
で、僕たち人間は狩猟採集民のころの脳とほとんど変わっていないので、狩猟採集民の生活が実は一番適しているんですね。だから起きている時間の半分は余暇であるべきだし、働くときは働く、休むときは休むっていうメリハリがある生活が適しているのです。
でも現代は働き方が均一だし、余暇があれば働くとか、何かしてないと落ち着かないっていう状態になっていて、脳に良くないわけです。その結果、鬱とか糖尿病とかの現代病を患っている人が多くなるわけです。
実際、いきなり狩猟採集民の生活を取り入れるのは難しいでしょうが、この知識を知っておいて、少しずつでも移行していく工夫はできるはず。個人的には「10ヶ月働いて2ヶ月休む」っていう生活をいつかしてみたいなって思っています。
時間はかかるものと考える
【SLOW 仕事の減らし方】の中では、いろんな仕事をやっている人の事例が書いてあるのですが、どの人も成功するまでに「時間がかかってる」んですよね。
SNSなんかを見ると、時間かけずに成功している人が多い印象を受けますが、息が長いクリエイターは成功まで時間をしっかりとかけていることがほとんどです。
その錯覚に惑わされず、何か成果を出したいと感じたときに「5年はかかる」という心構えで仕事をするといいかなと思います。ダンスで結果を出すのも、本気でやりはじめてから5年くらいはかかりますからね。
1〜2年で結果が出ずに諦めてしまう人、下手したら2〜3ヶ月で諦めてしまう人もいますが、多くの人が「忍耐力不足」なんですよね。僕もSNSの発信で上手くいかないことがあっても「まだ2年もやってない」って思うようにしています。
まとめ
【SLOW 仕事の減らし方】の内容をざっくりまとめると
- 自分にとって価値があることに目を向けて、関係ない仕事を減らそう
ってことです。
戦後から長く続く価値観=呪いに打ち勝つのはそんな簡単なことではないと思います。それでも現状を打破したいのであれば、最初はそこまで影響しないであろうことから減らしていくっていうのもありです。
それでポジティブな感情になれば、もっと減らしてもいいと思います。