現在の加速文化は「もっと成功しろ」「もっと立派になれ」というメッセージを発信しつづけ,メッセージの受け手は疲弊している雰囲気があります。
「みんなはもっとやってるんだから自分もやらなくちゃ」と思い,でもできない自分を責めたり,できてないのにできてるように振る舞ったり,一見ポジティブに思えることでもネガティブに作用しているのではないでしょうか。
今回紹介するのは,スヴェン・ブリンクマン著【地に足をつけて生きろ!】です。
【地に足をつけて生きろ!】はいわば「アンチ自己啓発」といった内容の本で,自己啓発のメッセージに惑わされてないで地に足をつけて生きることを提案してくれています。
この記事では【地に足をつけて生きろ!】を要約し,気になったところを解説してきます。
意識高い系を疑う
意識が高いことはいいことだと思うのですが,世の中には「意識高いんだけど口だけで実際に行動してない人たち」がほとんどです。
いわゆる「ウェルネス症候群」というやつで,生活習慣指導者・自己啓発・健康アドバイスに依存して,知識だけが増え,実際に行動しないから人生が変わらない人たちみたいな「エセ意識高い系」が増えましたよね。
「もっと成功しろ」「もっと立派になれ」というメッセージが氾濫しすぎていて,実際に行動に移せないのでしょう。
一見,正しいことを言っているようなメッセージでも,まずは「疑う」必要があるでしょう。
「このメッセージは自分にとって必要なメッセージなのか」「そもそもこのメッセージは正しいのか」など,自己啓発っぽいメッセージをいきなり真に受けず,一度立ち止まって検討しなければいけません。
検討した結果「今の自分には必要だな」と思ったら,1つだけ実践に移してみるといいでしょう。
実践してみると,そのメッセージが正しかったらいいですし,正しくなくても経験は残るので長期的に見るとプラスになるはず。
1番ヤバいのは,多くのメッセージを疑いもせず受容だけして,実践もせず机上の知識だけが膨らみ続け,SNSでまき散らしているような人たちです。
こういう人たちを見ると「地に足がついてないな」って思いますよね。
やりたいことではなく,やるべきことをやる
YouTubeのキャッチコピーに「好きなことで生きる」みたいなコピーがありましたが,いかにもこれはエセ意識高い系の人たちが好みそうなキャッチコピーです。
世の中はこのような「変なポジティブ思考」が蔓延していますが,ポジティブ思考だけでは人生はダメになるということがわかっています。
僕は今のところ,他の多くの人よりも自由に生きていますが,それは今までに「やるべきことをやってきたから」だと自信を持って言えます。
でも知り合いには「やるべきことをやらず,やりたいことだけやってる」人もいるのですが,やっぱり僕から見ると微妙な人生歩んでるなって思います。
もちろん本人がそれでよければいいのですが,そのせいで周りにも迷惑かけてるのにおそらく気づいてないんですよね。
逆にやりたいこととやるべきことのバランスがいい人って,周りからも好かれていくんですよね。
短期的に見たらこの両者の人生の差はわかりにくいんですけど,長期的に見たら取り返しのつかないくらいの差が出ています。
小説を読む
【地に足をつけて生きろ!】では,「自己啓発書や伝記を読まず,小説を読め」ということが主張されています。
その理由がおもしろかったのでシェアします。
小説では登場人物がたくさんいます。
ということは,その登場人物の数だけ視点があり,小説を読むことで一気に複数の視点を経験できるから小説を読むべき,と書かれています。
たしかに僕が紹介している本も基本は実用書で,著者は1人しかいません。
科学的根拠がある本もありますが,あくまで1人の人間の解釈が多分に含まれているわけです。
これは確かに盲点でしたね。
僕は小説を読まないので,ちょっと読んでみようかなという気にさせられました。
ちなみに【地に足をつけて生きろ!】の中では村上春樹さんの本がオススメされていました。
まとめ
【地に足をつけて生きろ!】を読んで1番感じたのは,「地に足をつけて生きる」というのはゆっくり地面を踏みしめながら生きる=ゆっくり自分にとって価値あることを実践しながら生きていく,ということなのかなということです。
様々なメッセージが大量に流れてくる中で,すべてを受け取ろうとすると実践できず,でもメッセージだけは頭に残っているから雄弁に語りたくなります。
2〜3年前の自分はまさにそんな感じだったなと思います。
実践する時間を増やしたことで「過去の自分はなんておろかだったんだろうか」と気づくこともできました。
そんな過去の自分みたいな人たちが世の中にはたくさんいますが,そういう人たちが「地に足がついてない人」なんだろうなと感じましたね。