「シャイニー・オブジェクト・シンドローム」というのをご存知でしょうか?
日本語に訳すと「キラキラ光るもの症候群」ですが,最先端のものにすぐに飛びついて振り回されてしまうことを言います。
この単語を見て,身に覚えがある人も多いかと思います。
最近はSNSの発達により,世界中のスゴイ人たちを毎日目にしています。
「世の中にはキラキラしてすごい生活をしている人たちがいる。私もそうなりたい!」と考えている人も多いでしょう。
それがきちんとした努力に繋がっていれば問題ないのですが,とにかく人間というのは「すぐに成果が欲しい」「目先の欲望に耐えられない」という性質があるので,残念ながら正しい努力ができる人は多くありません。
目標があっても,常に行き当たりばったりで刺激に反応するような行動ばかりでは,いつまでたっても目標を達成できないでしょう。
では人生の目標を達成するために,最も大切なことはなんなのでしょうか?
そんなことを教えてくれるのが,ドリー・クラーク著【ロングゲーム】です。
この本によれば,人生は「長いゲーム」なのだから,目先の仕事に追われることなく,長期の視点を持ち,行動していくことで目標は達成できると書かれています。
ということで,この本でとくに気になったことを要約して,レビューしていきたいと思います。
戦略的忍耐
成果が出るには時間がかかる。
誰でも頭では理解しているはずですが,実際にやってみると,成果が出るまでやりつづけるのはつらく,苦しいものです。
成功するには,どうしても粘り強さが必要であり,フォロワーが1人もいなくても,上司に実力が認められなくても,ある程度は我慢しつづける必要があると書かれています。
ただ我慢といっても,自動的に良いことが降ってくるのを待っている,ということではありません。
そこで「戦略的忍耐」という言葉が出てきます。
戦略的忍耐とは,必要な努力を理解し,その努力を続けることで,自分で成果を引き寄せることを言います。
当たり前のことかもしれませんが,「石の上にも3年」という言葉を誤解して使っている人もいますよね。
ただたんに3年間同じことをしていれば良いと勘違いしている人が多いこと。
そうではなく,戦略的に,必要なことを努力する,そして努力を続けていればいつのまにか成果が出てるよっていうのが大事なのです。
ネットワーク作りで大切なこと
成功するには「ネットワークを作ること」も大切と書かれていました。
でも,本書で書かれているネットワーク作りは,もしかしたら耳が痛い人もいるかもしれません。
ネットワーク作りの僕のイメージは「仕事に必要なネットワークを作る」です。
しかし本書で推奨されているネットワーク作りは「目的を持たずにネットワーク作りをする」ということでした。
また,1番嫌われるネットワーク作りは「短期的で,他人を利用することを目的としたネットワーク作り」だと書かれています。
これはものすごくわかります。
僕も最近,この「利用されそうなネットワーク」に誘われました。
もちろん断りましたが,この本を読んでなかったら参加していたかもしれません。
大切なのは,この人と仲良くなりたいという気持ちで,知り合いになっても最初の1年間は何もお願いしないと書かれていました。
この距離感,わかるわ〜
ナンパでも最初からホテルが目的でガツガツ行くと引かれますよね。
じゃなくて「その女の子と仲良くなりたい」「最初はランチから始める」という感じだったら感じ良いですよね。
ネットワーク作りは必要ですが,これも長期目線で,まずはその人と仲良くなることが重要なのです。
金メダルを狙っても金メダルには届かない
本書では「あえて極端な目標を設定する」ことも推奨されていました。
僕の今までの感覚では,あまりにも大きすぎる目標はモチベーションを下げてしまうのではないかと考えていました。
ただ,だからと言って今いる「現在地」を基準に目標を決めていたら,かなり小さな目標になり,自分の可能性を制限してしまうということも考えられますよね。
例えばあるコーチは,スポーツ選手に「金メダルを獲ったあとはどうするのか?」ということを頻繁に聞いていたそうです。
最初から金メダルを目指して練習していたら金メダルには届かない,むしろ金メダルは通過点にするくらいのほうが,金メダルは獲って当たり前という思考になりますよね。
これはけっこうなるほどなって思いました。
金メダルという短期(中期)の目標も大切ですが,それをさらに超えている「長期の目標」も大事で,それは現在地から計算すると小さくなる可能性があります。
だから極端に目標を考えてみるというのも重要だなと思いました。
まとめ
僕の周りにはけっこうすごい人たちがたくさんいて,その人たちと自分を比べてしまうと焦ってしまうのですが,このロングゲームという本には,そんな僕を勇気づけてくれる言葉がたくさんありました。
成果が出なくて焦っている人にはとくに読んでほしい本ですね。
心が軽くなると同時に,具体的な戦略も見えてきます。