デイヴィッド・エプスタイン【スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?】要約レビュー

心理学
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  • 努力をすれば必ず結果はついてくる
  • 圧倒的にな才能には努力も無意味だ

才能と努力に関する話は人気があるようで、僕もずっと考えているテーマです。

実際に、自分よりも経験が少ない人が自分よりも良い結果を出すなんてことはざらにあるわけで、そういう事実を目の当たりにすると「努力は意味ないのでは」と思わされます。

しかし、もし本当に才能で人生が決まるのであれば、努力する意味はないはず。それでも努力をする意味はなんなのでしょうか?

今回紹介するのは、デイヴィッド・エプスタイン著【スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?】です。

【スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?】の結論は、「才能と努力、どちらも確かに結果に影響する」というものです。そしてどういったものが才能で、どう影響するのかという具体的な例が書かれています。

この記事では【スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?】を要約し、気になったところを解説します。

本を読んで得た知識を僕なりにかみ砕いたり、すでに持っている知識と混ぜたりしているので、必ずしも本書と同じ内容ではない場合もあります。

才能があればやっぱり有利である

【スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?】では、おもにスポーツ、とくに陸上競技に関する事例が多かったです。

特に印象的だったのは、棒高跳び競技で、18年間練習を続けてきたホルム選手に8ヶ月の練習で勝ってしまったトーマス選手の話でした。どうやらトーマス選手は普通の人に比べてアキレス腱が長いそうです。アキレス腱が長いとアキレス腱が伸びるときに大きな弾性エネルギーを蓄えることができ、ジャンプには有利なのだとか。

というふうに、身体的に有利な面があるとやはり競技には有利という事実は認めなければいけないわけです。

【スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?】に書いてあったそれ以外の身体的な特徴は

  • 最大酸素摂取量
  • 赤血球の形状
  • 手足の末端の軽さ

などが上げられていました。

これらの才能は、やはり環境が作るようで、例えば最大酸素摂取量が高い人は標高が1800〜2700mくらいのところに住んでいる人が多いようで、そのような民族の歴史などの密接に関わっているわけです。

だから日本人である僕たちはそこまで才能を期待しないほうがいいかもしれないですね。

才能があるかもしれないから、とりあえず始めてみる

エキスパート研究では「練習至上主義」の考えが多いらしく、「才能なんてない、みんなしっかり練習しようぜ」って言われることが多いようです。実際、この考えのほうが世の中の人に希望を与えるでしょう。

しかし、著者のエプスタインさんは、「練習はもちろん大事だが、才能の存在を無視してはいけない」と中立的な立場をとっているように感じます。

才能の存在を無視すると、「練習を早くから始めていない人」はエキスパートになる可能性がないということになります。でも実際は遅くからスポーツを始めて成功した才能がある選手もいるのです。練習至上主義は、そのような才能を潰してしまう可能性もあると書かれています。

これを読んで「確かに」と思いましたね。とくにスポーツなんかは早くから始めてないと大成しないみたいな考えがありますが、これは本当にもったいないことです。むしろ高校生とか20歳を超えても、認知能力は上がっているから実は覚えが早かったりもするわけです。それでも才能があったら超ラッキーなわけです。

ただ「才能があるかないか」なんてのは自分ではわからないので、僕たちができることは「とりあえず始めてみる」ということでしょう。

最大酸素摂取量を鍛える

才能、とくに身体的特徴に焦点を当てている本なので、自分たちができることはないかなと思いましたが、「最大酸素摂取量」は鍛えることができます。ようするに心肺機能ですね。

心肺機能が高いと、運動だけじゃなくて日常生活も疲れにくいと言われているし、頭もよくなるらしいので高いほうがいいでしょう。そしてこの機能は鍛えることができます。

才能がある人を超えることはできないかもしれませんが今の自分よりは確実に強くなるので、最大酸素摂取量を鍛える努力には投資をしてもよさそうです。

靴は軽くする

手足の末端のほうに位置する重量のことを「遠位重量」と言うらしく、長距離ランナーはこれが少ないことが好ましいらしいです。具体的には足首やふくらはぎは細いほうがマラソンなんかには有利ということです。

ケニアのカレンジン族ランナーは、デンマーク人ランナーと比較すると、下腿(膝から下)が約500g軽いそうです。

足首にわずか50gの重りをつけるだけでランニング時の酸素消費量が1%増えるそうで、ケニア選手は1kmにつき8%もエネルギーの節約になる計算になります。いつもマラソンのトップはケニア人が多いのは、それが原因の一つとなっているわけです。

これを僕たちが使おうと思ったら、靴はできるだけ軽いほうがいいのでしょう。50g違うだけでエネルギー消費が変わるのであれば、しっかりと考慮すべき問題ですね。

まとめ

【スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?】の結論は、「才能と努力、どちらも確かに結果に影響する」というものです。そしてどういったものが才能で、どう影響するのかという具体的な例が書かれています。

  • 努力、練習は超大事
  • でも才能の存在も無視してはいけない

というバランスのいい思考を持つことで、自分に向いているものを探しやすいと思います。もしかしたら長距離に向いている体なんだけど向いてない短距離をやり続けてしまっている、という状況もあるかもしれませんし。

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