僕は,才能とかセンスがモノを言う(と思っていた)業界にいるので,才能についてはずっと昔から考えてきました。
「答えが見つかった!」と思ったら「違うんじゃないか」と考えなおすことをずーっと繰り返してきました。
そしてやっと才能についての1つの答えを教えてくれる本に出会いました。
それが鈴木祐著【天才性が見つかる 才能の地図】です。
【天才性が見つかる 才能の地図】は,多くの人が考えている「才能」についての誤解を科学的にぶった切ってくれてます。
その上で「ではどうすれば才能を発揮することができるのか」というところまで言及してくれています。
自分の人生に「才能」というものが切っても切り離せない人全員に読んで欲しい本です。
この記事では【天才性が見つかる 才能の地図】の内容を要約し,気になった部分を解説していきます。
「才能がある」をどう定義するのか
才能の議論をするときに,前提に「才能の定義」がないことがよくあります。
定義がないから相手の意見が見当違いに聞こえてくることもあるし,議論がまとまることなんてほとんどありません。
【天才性が見つかる 才能の地図】ではまず才能について以下のように定義しています。
才能がある:自分だけが満足するのではなく,周囲から評価されるような高いパフォーマンスを発揮できる状態
まず自分には実力があり,それが他者から承認されているという状態ですね。
「成功する」と近い表現かもしれませんね。
この定義を見たときに,すごく難しいという印象を受けませんか?
実力というのは自分の努力次第でなんとかなりそうな気がします。
しかし,他者から承認されるって自分ではコントロールできないところですよね。
それこそ「運」の要素もかなり関わってきます。
鈴木祐さんの本のいいところは,巷にあるような才能本とか成功本と違い,今わかるかぎりの科学的なデータを活用し,真摯に書いてあるところです。
本はどうしても売れないといけないので,読者が買いやすいキャッチコピーを設定しなければいけません。
そうなるとどうしても「釣りタイトル」っぽくなってしまったり,結論が極端になってしまいます。
しかし鈴木祐さんもおっしゃっていますが「極端な結論は間違ってる可能性が高い」ものです。
実際【天才性が見つかる 才能の地図】の前半は,才能についての誤解を科学的データを基に解説されています。
その部分だけ読めば,歯切れが悪く,多くの人が求めている極端な答えはありません。
ようするに読者に安易な解決策を提示するのではなく,少し努力をさせるタイプの本です。
だからこそ「今のところの真実」を知ることができるし,まずは【天才性が見つかる 才能の地図】に書いてあることを理解し,実践していくことで自分の才能と向き合うきっかけを作ることができます。
多様性が増した世界では「異能バトル」になる
【天才性が見つかる 才能の地図】を読んで思ったのは,多くの人が考えている「才能」というのは,ルールがある程度決まっていた世界,ようするに高度成長期の日本の価値観に沿った才能であるということです。
例えば,昔はいい大学に入って,いい会社に入りさえすれば人生は安泰だという価値観でした(いまだにそう考えている人も少なくありませんが)。
ようするに「大学に合格するための勉強ができればOK」というルールで世の中は動いていたわけです。
その価値観で東大のような有名大学に入れば「天才だ」「才能がある」というふうに言われ,そうでない人は「凡人だ」「才能がない」と言われていた時代だったのです。
しかし,今は多様性が増した世界です。
そのような簡単なルールではなく,より複雑なルールで世の中は動いています。
昔の価値観からはみ出していた人たちが活躍し,大金を稼げる時代になっているのです。
それを【天才性が見つかる 才能の地図】では「異能バトル」と表現しています。
「ドラゴンボール」のようにシンプルな戦闘力で勝負する時代ではなく,「ジョジョの奇妙な冒険」のようにそれぞれの能力で,それぞれの戦略で勝負する時代になってしまったということです。
そのような時代がすでに来ているのに,いまだにドラゴンボールの価値観で生きている人も多く,そういう人たちがいう「才能」というのは今では役に立ちにくいんですよね。
才能に関するたくさんの誤解
【天才性が見つかる 才能の地図】の前半パートでは,我々が思っていた才能というものを科学的なデータを基にことごとく潰してくれています。
例えば我々が思っている才能についての誤解は以下のとおりです。
- 好きなことだと成功しやすい
- 得意なことだと成功しやすい
- 自然にやってしまうことこそが才能だ
- IQが高ければ成功しやすい
- 努力できるもの才能だ
- 才能を活かすには自信が重要だ
- ポジティブ思考がないと成功できない
- コツコツやり抜く力がなんだかんだで大事
- 才能は遺伝で決まる
【天才性が見つかる 才能の地図】では上記のようなことを100%否定しているわけではないのですが,これらを否定するデータのほうが多いという主張をされています。
この前半部分は本当におもしろかったですね。
「まじか!」の連続でしたよ。
世の中のほとんどの人が思っている「才能」というのは,ほとんど間違っていると言ってもいいくらいです。
自分の異能を活かす方法
では自分の才能を発揮する=異能を活かすにはどうすればいいのでしょうか?
具体的な方法は【天才性が見つかる 才能の地図】を読んで欲しいのですが,ザックリ言うと以下のとおり。
- 戦うフィールドを決める
- 誰が自分を審査するのか把握する
- どんなスキルや資質が必要なのかを把握する
とくに印象に残ったのは「審査員は誰か」ということですね。
自分を評価するのは誰なのか。
例えば,僕ら素人でもよく知っているバイオリニストがいます。
その人はテレビにもけっこう出ているので,ものすごくバイオリンが上手く,その世界でもトップの人だと思っていました。
ですが,バイオリンの世界では実はそうでもないらしいんですよね。
そのテレビでよくみかける人はテレビ関係者や視聴者を「審査員」として見なして行動していたわけです。
またバイオリニストの有名な人に認められたい場合,審査員は「バイオリン業界のトップの人」ということになりますよね。
同じスキルがあろうとも,誰を審査員にするかで,そのスキルの使い方が変わってくるし,立ち振る舞いも変わってきます。
僕はこれがまったくできてませんでしたね。
スキルがあっても,「自分は誰に審査されたいのか」ということを明確にしていませんでした。
【天才性が見つかる 才能の地図】の中にはフィールドや審査員を見つけるワークもありますので,ぜひやってみてください。
まとめ
【天才性が見つかる 才能の地図】を読んで,才能というものについての誤解が解け,ものすごくクリアになりました。
そしてやるべきこともかなり明確になったと思います。
自分の才能について悩んでいる人はぜひ読んでみてください。
頭がすごくスッキリすると思います。
鈴木祐さんの他の著書
他にも鈴木祐さんの著書を紹介していますのでよろしければ読んでみてください。
才能とか成功とかに関連する本
【才能の地図】のテーマに近い本もご紹介しておきます。
一緒に読むと理解が深まると思います。